冬はバラにとって休眠期ですが、この時期こそが来春に向けての重要な準備の時期です。バラの冬のお手入れは、次の季節に美しい花を咲かせるための大切な作業。正しく行うことで、バラの健康を守り、花つきや枝の成長を促進できます。
この記事では、「鉢植えバラの冬のお手入れ」をテーマに、剪定方法やタイミング、もっとバラを楽しむ方法などを解説します。
はじめに:春の開花時期までに冬にすべきこと
初心者にとっては、バラのどの部分を切るべきか、どのタイミングで行うべきかが悩みますよね。ここでは正しい剪定方法や、剪定のタイミングを解説します。春のバラを美しく咲かせるために、冬の剪定をしっかりと行い、姿よく咲くバラを育てましょう。
冬のバラ剪定が重要なワケ
バラの冬の剪定は、来春に美しい花を咲かせるために欠かせない作業です。なぜ冬に剪定をするのか、具体的な理由を見ていきましょう。
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無駄なエネルギーを使わないようにするため
バラが休眠している冬に剪定を行うことで、エネルギーが無駄に消費されることなく、新しい芽が育つための養分が効率よく使われます。剪定しないと古い枝にエネルギーが使われてしまい、結果として花の数が減ったり、弱い枝が伸びてしまったりすることがあります。
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健康な成長を促すため
冬の剪定で、古くて弱った枝葉を取り除くことで、病気や害虫の予防にもつながり、風通しも良くなり、元気な新しい枝がしっかり育つための準備が整います。
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美しい形を作るため
剪定をすることで、バラの株が整った形に保たれ、枝が広がりすぎたり、密集したりすることを防ぐことができます。これにより、風通しが良くなり、日光が均等に当たるので、花がより美しく咲きます。
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来春の花つきを良くするため
適切な剪定を行い肥料を施すと、バラの新芽がしっかり育ち、来春には元気な枝に美しい花がたくさん咲きます。特に花を咲かせやすい強い枝を残すことが重要です。
冬の剪定は少し手間がかかりますが、これをきちんと行うことで、春から夏にかけてのバラの成長がグッと良くなります。次のシーズンに美しい花を楽しむために、冬の剪定はぜひ大切にしたい作業です!
冬のお手入れポイント:剪定・肥料・土づくり
①剪定する(目安時期:2月末までに)
剪定は12月下旬以降の、本格的な冬の寒さが到来してから実施しましょう。できれば1月末まで、遅くとも2月末までに終わらせてください。それより遅くなると春の花数が減ってしまう可能性があります。
【初心者向け】株全体の高さの半分程度まで切り戻す
「いろいろ説明されても難しくてよく分からない」という方は、秋までに生育した株全体の高さの約半分くらいまで、ざっくりと剪定してみるのがオススメ。慣れてきたら以下の剪定を行い、よりよい花が咲くようにトライしてみましょう。
交差枝、内枝などを切る
狭い範囲に枝が密集したり枝が交差していると、春に新芽が出る際に風通しや日当たりが悪くなります。太くてしっかりとした枝は残し、細くて柔らかい枝を剪定しましょう。
②寒肥を与える(目安時期:1~2月)
冬に与える肥料のことを「寒肥(かんごえ、かんぴ)」と言い、1~2月頃に施します。冬剪定と同時、または剪定のすぐ後くらいが目安です。
緩効性(かんこうせい)肥料を使おう
鉢植えバラの場合、即効性肥料は少しやり過ぎただけでも根腐れの原因になるので、必ずゆっくり効く緩効性肥料を使ってください。そのなかでも、微生物(善玉菌)を増やして柔らかい生きた土をつくる手助けをしてくれる有機肥料がオススメ。
また、肥料を与えるときは株元ではなく、鉢の周りに撒くのがポイント。こうすることで、バラが肥料を効率よく吸収できるようになりますよ!
③土づくりをする(目安時期:1月中旬くらいまで)
鉢の中で根がぎゅうぎゅうに張り巡らされ、土が固くなってしまうと、バラの根がこれ以上伸びなくなり、生育が悪くなってしまいます。これを防ぐために、鉢植えのバラはできるだけ毎年土替えをすることが大切。土を新しくすることで、根を自由に伸ばすスペースができ、バラの成長をサポートできます。
【専門家が解説】バラの植木鉢の素材は何がベスト?
バラ栽培初心者や、現在の栽培方法に迷いがある方へ、バラを鉢で育てる際のプラスチック鉢と素焼き鉢の選び方について、それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
プラスチック鉢のよい点、悪い点
- 【よい点】
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- 水もちが良く、水切れの心配が少ない
- 軽く、持ち運びに便利
- 【悪い点】
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- 水もちが良い反面、過湿には注意が必要
- 軽いため、風などで鉢が転倒しやすい
- 素焼き鉢に比べ、デザイン性が劣る
素焼き鉢のよい点、悪い点
- 【よい点】
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- 鉢の側面からも水が抜けるため、通気性がよい
- デザイン性に優れ、演出効果が高い
- 【悪い点】
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- 通気性がよい反面、乾きやすい
- 割れやすく、重い
素焼き鉢の水もちを改善するアイデア
素焼き鉢を使いたいものの、水切れは困るという場合は、あらかじめシート状に切断したビニールを鉢の内側に入れると、見た目は素焼き鉢のままプラスチック鉢の水もちを確保できます。写真のように使用済みの用土の袋などを利用するのも一案です。
冬のバラ活用方法
バラの冬の作業を進める中で、剪定した枝にまだ残っていたバラの花や蕾を暮らしに活かし、花のない時期でもバラが楽しめる工夫をご紹介します。
乾燥気味の冬は、ドライフラワーづくりに最適な季節
冬は乾燥しているため、ドライフラワーづくりに最適な季節です。バラを約5~6輪に分けてゴムと紐で結び、逆さにして室内で自然乾燥させます。窓際では結露に注意しましょう。飾りながら乾燥させることで、ルームインテリアとして楽しめます。
冷え症対策に!手作りローズ・バスソルト
成分の抽出効果の高い荒塩にエッセンシャルオイルを加え(目安として、荒塩250gにエッセンシャルオイル20滴)、バラの花弁を1ヶ月間サンドするだけで、簡単にローズ・バスソルトを作ることができます。荒塩にはミネラル成分が豊富で、血行促進や体を芯から温める効果に優れ、そこにバラや精油の保湿・リラックス効果も加わったバスソルトは、寒い冬の時期の冷え症対策に役立ちます。
- エッセンシャルオイルは肌に刺激の少ないものをお選びください。
- ローズ・バスソルトは、アレルギー及び敏感肌の方は、ご使用の際は十分ご注意なさるか、ご使用をお控えください。
バラを華やかに飾る準備を今から始めよう
まだ寒い冬が続きますが、暖かい季節が待ち遠しいこの時期こそ、春に向けての準備を始めるチャンス。バラの美しい花が咲き誇る瞬間を、春の訪れとともに楽しむためのヒントをお届けします。
玄関編
【左】玄関は土の地面がないのでスチール製のトレリスとスタンドを使うと便利。鉢植えのつるバラと鉢植えのクレマチスをトレリスに誘引
【右】つるバラとクレマチスで飾った玄関の、春の開花風景
雨樋編
【左】雨樋を隠すには、半円形のスチール・トレリスを使用すると便利。雨樋の金具に市販の結束バンドで固定
【右】春の開花風景。高さを出すことで立体感のある景観を演出
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バラの華やかさを演出するアイテム
■ トレリス / アーチ
バラの誘引に